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岡  秀 行

Author:岡  秀 行
本当は「寺小屋」のようなことをしたかったんだけどなぁ...どういう訳か今は山梨県甲府市で『かんむら』という名のみんなの居場所を制度を活用しながら、時には活用しなかったりしながら運営しています。この先はたぶん制度から離れていく方向になるのかなぁ...。いずれにしてもココは誰も排除することなく、にぎやかでごちゃまぜになることを楽しんでいる場所です。

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しげるサン...
しげるサンは、『かんむら』立ち上げ当初から有償ボランティアとして働いている。

95才の母上と2人暮らし。

昔は母と2人で食堂を営んでいた。

母上が切り盛りをし、しげるサンが食事の調理全般を請け負っていた。

何度か昼食をごちそうになったことがあるが、あの頃はとても美味しかった。

特に、野菜炒め定食


ところが5年前、母上の「きよ子サン」が認知症を患ってしまった。

もともと数字にはめっぽう弱かったしげるサン、食堂の運営が難儀し、しげるサンの姉上が10キロ以上離れた遠方から手伝いに駆けつけていた。

そうこうしているうち、60才を過ぎたしげるサンは一度に2つ以上のことができなくなってきた。

勿論、調理も...。



2008年、介護状態となったお母上のケアマネを岡が担当することになった。

ご家庭の事情を知ったのはそんな時だった。

しげるサンの姉上のご苦労は並大抵のものではなかった。

公私に渡り忙しい身、更に遠く離れた親兄弟のために身を削っていた。

そして『かんむら』の立ち上げを知った姉上が、「弟込みで『かんむら』に厄介になれないか」と...。

『かんむら』は誰も排除しない。

断る理由もなく、きよこサンは利用者として、しげるサンは有償ボランティアとして『かんむら』に通うことになった。


元来、何事にも一生懸命に取り組むしげるサン、要領は悪いながらも真剣に利用者サンや職員達の食事作りに取り組んでいた。

しかし、日がたつにつれ、だんだんとおかしなところが目につくようになってくる。

洗い物を頼めば、キッチンは水たまりに...通り雨かな(?)と... 

そこに入れば、僕らはみーんなビッショビショ。

洗い方が荒っぽいので、2ヶ月でガラスコップの半分以上がガレキ行きに

「水はあまり出さずに、洗い物はやさしく」と伝えても変わらず...。

水道代にもビックリ

みんなで考えた結果、使いづらくはなるが水の元栓を絞ることに...。


調理ともなれば、焼いた「さんま」を天ぷらにしようとして爆発させて木っ端みじんに...

煮物の中にトマトを入れようとしたりと...

彼なりの調理理論があるというので、笑って過ごしていた。

すべては気のせいなのだろうと。(ここが『かんむら』のいいところ


然しある日の夕方、利用者サンが風呂に入ろうとすると、既にしげるサンがご入浴中...

なんで風呂に入っているんだ

ありえない...

笑えない...

待てど暮らせど、ちっとも出てこない...。

こんなんじゃ、介護保険が指定取り消しになってしまう

とうとう

怒ってしまった...

しげるサンはかなり反省した様子だった。

僕はといえば、年上のボランティアさんに対し叱ってしまい、申し訳ない思いだった。


でもそのあと、もう一回あったのだけれども...。

 IMG_1822_convert_20111025195820.jpg
利用者サンとお休み中の しげるサン

今は、しげるサンにできることを見つけてもらいながら、『かんむら』ですごしている。

涼しくなってきたので、もっぱら草取り。

そのため、かなりラフな格好で参上するようになった。

「毎日、随分丈が短いズボンばかりはいてくるなぁ」とみんなで話した。

どのズボンもみーんな見覚えのあるものばかり...。

ナント、お母上であるきよこサンの物だった

まぁ、大目に見よう。

誰に怒られるわけでもないし...。

どうせ、『かんむら』だし


「おふくろさんが『かんむら』に世話になっている。だから自分にできることをしよう...」というしげるサン。

きよこサンは幸せ者だ。

親が子供に掛けた愛情が、後に帰ってくるかどうかは誰にも判らない。

いつもご苦労さまです。

本当にありがとうございます...しげるサン。

しげるサンの姉上をはじめ、ご家族も『かんむら』に最大限の理解を示してくれている。

みなさん、これからも『かんむら』をよろしくお願いします。



『かんむら』の面々は、人のことをとやかく言えるような輩は一人もいない。

みーんなどこかしらおかしいし、影のあるスタッフばかり。

それでいいんです。

みーんな仲間。

自分自身を受け容れ、人を受け容れて人と交わってゆく。

みーんな『あるがまま』だ。







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