2011-11-10 Thu

右が「しず子サン」で左が「しづ子サン」
しず子サンは以前、とあるグループホームに入所していた。
日頃から落ち着かず、徘徊や電車に飛び込もうとしたり、たまに人を叩くこともあった。
グループホームに居を移してからもその状態だったため、入所当初から2週間、ナント(

当時の彼女は夜間は比較的落ち着いていたようで、夕方には夫は家に帰って行った。
しかし入所して2週間後、施設側から「退所して欲しい」と言われる。
入所直前にも精神病院に入院しており、今すぐの入院はムリだと病院から言われ、勿論他の介護保険施設の受け容れも拒否されてしまったそうである。
『かんむら』に夫と娘さんが相談に来たが、その時の2人の表情は痛々しく、心中は深刻であった。
特に夫は疲れきっていて、限界であることはすぐに判った。
相談中にも施設側から電話があり、「しず子サンが落ち着かなくて困っている。すぐに来て、そばについてやってくれ。」と夫に電話が入る。
いったいどうなっているのだろう...?
グループホームってのは入所施設じゃないのか...?
グループホームってのは日本名、『認知症対応型共同生活介護』という名前じゃなかったのか...

いくらなんでも...。
強い強い怒りと、同じ介護保険事業所として(ご家族に対する)申し訳なさを感じた。
その足で、岡も一緒にグループホームへ向かった。
僕を見るなりしず子サン、「久しぶりだね

彼女は僕のことを「知っている人」と判断したのだ

その後も、「こんなことはしばらくなかった」とご家族が言うくらい笑顔が見られた。
僕は迷わず、ご家族に「いつでもどうぞ。明日からでもいいですよ

あの時の夫や娘さんの表情は忘れられない。
来所当初、送迎中の車から飛び降りようとするは、『かんむら』の表通りを走行中の車に飛び込もうとするは...最初はいったいどうなる事やら...と

正直、彼女が居たグループホームの職員達の気持ちもよく解った。
四六時中『かんむら』の周りを歩きまわるので、スタッフやボランティアさんたち総出で対応していた。
けれども『かんむら』に通って8ヶ月、彼女も自分の居場所を『かんむら』で見つけられたようだ。


『かんむら』の子供たちやスタッフ、有償ボランティアの市川 凌や支援学校の生徒サンたちとふれあうことで、彼女の心の中にも変化が起きてきた。
これまで精神病院に入院することもなく、地域の医療機関の協力もあり、なんとか在宅生活を送っている。
一日だって『かんむら』を休んだことはない健康体。
良く肥えているので、旦那サンといつも心配しているが...。
最近は冗談も言えるようになり、たくさんの笑顔が見られるようになった。
まだまだたいへんだけれども...。
『かんむら』ではスタッフや有償ボランティアサン達が、毎日しっかり彼女に寄り添ってくれている。
ほんとうに感謝感謝だ。
今日は「しづ子さん」と一緒の送迎だったが、彼女の肩にもたれ掛り、うたた寝をしていた

その姿を見ながら「しづ子サン」も幸せそうだった。
最初は、「あら、この奥さんは朝から居眠りをしてイヤねぇ~」なんて言っていたが...。
ほんとうにご家族の苦労や、支援者や地域の力があればなんとかなるのかなぁ...。
どうなんだろう。
今も確信はない。
制度やシステムはあてにはならないこともあるし...。
「目の前にいる人をなんとかしたい...。」
その思いだけでやってきた。
むりだと思える要求も、スタッフたちは知恵を絞り、必死に応えてくれている。
たくさんの人の手、その方や家族に対する強い想い...。
それらが切れることがないよう、今は祈っている。