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岡  秀 行

Author:岡  秀 行
本当は「寺小屋」のようなことをしたかったんだけどなぁ...どういう訳か今は山梨県甲府市で『かんむら』という名のみんなの居場所を制度を活用しながら、時には活用しなかったりしながら運営しています。この先はたぶん制度から離れていく方向になるのかなぁ...。いずれにしてもココは誰も排除することなく、にぎやかでごちゃまぜになることを楽しんでいる場所です。

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『かんむら』な人の会話
毎日、夕方4時半頃になると大きな声で夕飯を催促する人...キヨコさん。

食欲旺盛な彼女は、今年96才を迎える。

時間の感覚はすでになくなっているはずだが、4時半頃になると、「ゴハンまだですか~」とちゃんと大声で催促が始まる。

それが始まると、決まって向かいに座っているナガマサさんが掛け合いを始める。

(ナ)「うっるせ~もんだなぁ~ あんた、おやつを食べなかったのか?」と一応たずねてみる。

(キ)「さぁ~、食べなかったですねぇ~」と...。

(ナ)「じゃぁ、その辺にあるものを何でも食べて急をしのいでろし!」

(キ)「そうですか...では戴きましょう...」と自分の鼻をかんだティッシュを開き始める。

一度この辺でスタッフがキヨコさんに声を掛けてみる。

(ス)「お腹すいたよね~ もうちょっとでご飯になるからねぇ~」と。

(キ)「いやぁ、皆さんお腹をすかして待ってるからねぇ~」

(ナ)「腹っぺらしはアンタだけだ

(キ)「あらそうでしたか...あぁ、そうでしたか」とちょっとキレてみる。

(ス)「じゃ、これを食べてもう少し待っててね」と菓子などをみんなに勧める。

この辺まではみんな笑顔でやり取りをしている。

けどお菓子も焼け石に水...菓子をペロッと平らげてしまうと...

子供たちが持っているオモチャやそれを入れる箱を指差し、「ぼく~、それ何? オバアチャンにもちょうだい」ともの凄い不自然な笑顔で、何とか手に入れようとする。

いつものことなので、子供たちも最初は聞いてないふりをしてみる。

すると、「ちょっと~ぼく~、それをもって来てオバアチャンに見せてー お願いー」と、もはや目は笑っていない...

「これは食べ物じゃないよ~」と、子供たちも命の次に大切なオモチャを守ろうと必死で抵抗する。

もはや手に入らないことが解ると、「ゴハンまだですか~」と再開する。

ここからは連呼で、キッチンに容赦ないプレッシャーを掛けてくる

そこで決まってキヨコさんの息子であるシゲルさんがキッチンから飛び出してくる

「お母ちゃん...ちっと静かにしてろし おかしい人だと思われるじゃんけ~」と...

シゲルさん、大切なお母さんがみんなから奇異な目で見られては困るといつも必死だ。

これらは壮絶な、すべて真面目な日常のやり取りです。

けど、「あるがまま」の世界というのは、きっとこんなものなのでしょう。

不思議なもので、毎日同じことをやっていても飽きないんだよね~。

やり取りをしている側も、見ている側も...。

全員が物忘れの人なのに、毎日ちゃんとおんなじリズムで掛け合いをする。

ちょっと殺気立つ時もあるけど、みんなが笑顔です。

不思議なものです。


あんまりに腹が減ったというので、今日は、銀杏(ぎんなん)を出してあげた。

僕が銀杏の殻を割っていると、「会長...それは何ですか~?」と。

最近キヨコさんは、なぜか僕のことを「会長」と呼び出した。

人によっては「隊長」と呼んだり「専務」と呼んだり「親分」と呼んだりしている。

僕は毎日、階級が上がったり下がったりしているみたいだ。

「岡で~す」と教えてもみなさん覚える気などさらさらない...というかその力が...。

いずれにしても、細かいことは気にせず放っておいている。

「この人はいつでもココにいる人」だと解ってくれていれば...。


横道にそれたが、キヨコさん...僕が銀杏だと説明するも、「豆」だと理解している様子。

「会長...その豆をここに下さい」とティシュを広げだす。

2~3粒を一口で行ってしまった...

その後もパクパクと...。

選択ミスだった...やっぱり「おにぎり」じゃなきゃダメかなぁ...















未分類 | 23:21:03 | トラックバック(0) | コメント(0)