2012-07-06 Fri
『かんむら』はみんなの居場所。集う人間はみんなだいたい横並び...。
何かを自慢しあったってドングリの背比べになる。
「よくできたひと」はスタッフ含めて一人もいないと認識している。
利用者サンは他事業所では居場所が見つからないので『かんむら』に流れ...
スタッフも然り...。
利用者サンは「問題老人」という事で通所や入所を拒否された人も多い。
朝から「痛い~...バカヤロー!」と大声を上げているお婆ちゃんがいる。
時には僕や他の人に向かって怒鳴りつける。
何かを伝えたいけど、大声を上げることでしか表現できない。
朝から晩まで、ひたすらスタッフがそばに寄り添っている。
本当の声なき声に耳を傾けることで、何かを見出そうと...。
『かんむら』の利用者サンは全員が認知症だ。
そんな利用者サンたちも、そうするしかない彼女を受けとめ、静かに見守っている。
そんな想いをよそに北井バァが、「うるさいわねー(怒)」と。
「あの人はかなりおかしい人だ」と...この辺までは僕も黙って聞いていた。
確かにうるさいし、北井バァの想いも受け止めなくてはならない。
ところが、「ああいう人の親もおかしい人の筈だ」「もう来るな!」...と。
「あの人が帰らないんなら、私が帰りたい」...この辺で我慢も限界。
ずっと黙って聞いていたが、久々にキレてしまった...

「ココにはスタッフ含めてだれもまともな人はいない。みんな訳あってココにいるんだ。自分だけまともで、ココに居づらいと思ってるんなら帰ってもらって結構

言ってしまった...

確かに普段からご家族にも「かんむらはいろんな人が集まる場所 ココはサービスの選択肢の一つ 誰も拒まないけど、合わないと思ったら決断してください」とは伝えてある。
北井バァは黙りこみ、柄にもなくしおらしくなってしまった...。
ちょっと言いすぎたかな...。
緊迫した中、有償ボランティアのシゲルさん...

つまようじで歯をシーシーとやっている。
かなりキテます...。
ま、こんな光景を見て我に返るんだけど...。
『かんむら』は家族ひっくるめてのお付き合いをしている。
そうしようとしたわけじゃなく、勝手にそうなっただけだ。
だからご家族の前でも平気で同じことを言うし、これまでもそうしてきた。
きれいごとではどうにもならない、ごまかしのきかない仕事だ。
みんなが在宅生活を続けて行く以上、当事者だけ何とかすればいいわけがない。
よく、「関わりすぎるな」と言われるけど...。
家族も僕らも元気じゃないと、そのかたの「生活」そのものが続かない。
だから家族ともしっかり関わるし、本人とも腹を割ってつきあっている。
「問題があるから...」と誰かを排除する。
『かんむら』がそういった「施設」になったらどうなるのだろう...

べつに、なにか特別なことをして来たわけじゃない。
ココにたどりつくまでに、何か所も施設を転々としてきた人たち...。
『かんむら』はただ、誰も排除しなかっただけだ。
「よくできた事業所」になってしまったら多くの人の居場所がなくなる。
足りないところをお互いに補おうとか何とか、きれいごとを言うつもりはない。
ただ自分自身を受け容れ、相手を受け容れること。
ただ一生懸命だと自分自身を追いこんでしまう。
そんな中でも自分自身の時間をつくって行かないと、また逆戻りに...。
ネーサンからも言われている通りだ。
バランスが大切だなぁ~。
そういえば七夕飾り...。

だいぶ短冊がつる下がって来た。
その中にこんなものが...

「何でもおいしくたべたい...81才」
「何でもおいしい物をたべたい...95才」
同じようで対照的。
長生きするにはこのくらいじゃないとね~
