2015-02-02 Mon
※ この稿はデンマークの方や通訳さん、現地で聞いたことであり、あくまでも自分自身が聞き、感じたことをつづってます。
ちょっと長いけどおもしろいと思うので、是非読んでみて下さいませ


「クリスティアーニャ」とは...
なんと、デンマークのど真ん中にある「無政府独立都市」である。
イッチャンに連れられ、姉ぇーサンと一緒に行って来た。
人口2,000人ほどのこの街は、「クリスティアーニャ」と呼ばれる。
他国ではどう呼ばれているのかは知らないが...
(いまインターネットで検索したら、クリスティアーニャでは

ここは、昔の広大なデンマーク軍の兵舎の跡地らしい。
国の政策で1973年に、「3年間は税金(住民税?)を納めなくて良い」

そういう事で、この兵舎跡地を国民に住居として供給した。
そしてココに住み着いたのは...ヒッピーたちだった。
1970年頃といえば彼らの全盛期

高学歴で教養があり平和主義、それでいながら若くして世捨て人的な...
そんな彼らがここに街をつくり、いつしかひとつの「国」になった。
当初は政府からの弾圧もあったようだが、いまでは多くの協力者ができ
数年前にクリスティアーニャの住民達がこの土地を買い取ったそうだ

買い取るにあたり、
『国に税金を納めるかわりに、自分たちの権利を認める事』
国にそう約束を取り付けたそうである。
すなわち、
・ これまでの暮らしを今後も尊重すること
・ クリスティアーニャの中でのもめ事は、クリスティアーニャの中で解決する
デンマークの法律がクリスティアーニャの中には及ばない事を認めさせたのである。
街の中にはラジオ放送局等だけでなく、幼稚園や学校などもある。
それにしても、これを容認したデンマークという国の度量たるや...

ただの福祉先進国じゃない

けどのちのちココにこそ、そのゆえんがあるように思えてならなかった...
まずゲートをくぐると、薪が燃えているような臭いが漂ってくる。
建物の壁を見ると所々に、「写真撮影禁止」のマークが...
2~3分間歩いていると突如、酔っぱらったような感覚に襲われる


その理由...
薪が燃えているようなニオイは...マリファナなどのタバコ系のドラックだった

おクスリに、頭をヤラレてしまったらしい...

昼時だったので、最初にレストランに入った。

ビール銘は、その名も「クリスティアーニャ」
原料は街の外で仕入れ、この街で無添加醸造しているそうである。
食べ物もオーガニックベースで、この街では健康的な食べ物が中心
マリファナ合法の独立国かと思えば、人や地球環境にエコな暮らしも見える。

左側の建物には古着が集められいる。
着るものに困った人はここに来て、自分に合った服を自由に持って行く。
また必要なくなった服があれば、洗ってここに持って来る。
いたる所に無駄の無い、見事な循環型の社会が垣間見える。

鳩はおろか、スズメを踏みそうになったって飛ぶそぶりも見せない。
心やさしい住人達に、小動物まで心を許している。
![aq1scd@]-8xsws](https://blog-imgs-76-origin.fc2.com/k/a/n/kanmurabiyori/201502021903061f6.jpg)
建物の壁やコンテナに描かれているクリスティアーニャの国旗
所々に、自分たちのポリシーが刻んである...
旧兵舎にはすでに住人がいるので、新入りの住人は

自分でこのような家を建てる人が多いらしい。
芸術家も多く、とにかく個性的な建物というか...

なんといったらいいのだろう...

でも、

伝えたい気持ちは、なんとなくわかるような気がする...

この紙は、クリスティアーニャの憲章(?)をうたっているらしい。
紙面右には「非暴力・非服従」を提唱した、インド独立の父であるガンジー
ケンカ、暴力、街への武器の持ち込み、マフィアの構成は厳禁

コカインやヘロインなどの科学精製されたハードドラックも

マリファナは健康に害がないという認識らしくOK
ちなみに、自家用車などの乗り入れもダメ

いろんな意味で、車は事故のもとになる事がちゃんとわかっている。
これは、乗り入れが認められている数少ない車...

ゴミ収集車~

どこまでもアーティスティックだ

ちなみにコレは

幼稚園~

もう一度言うけど、

幼稚園~~~

遊具もすべて手作り。
一見すると突飛な感じだけれども、どこまでもあたたかさが感じられる...

クリスティアーナ来訪の御一行さま~

通訳のトシコさんに、プロカメラマンの...名前忘れちゃったぁ~

姉ぇーサンが一緒で心強かったし、
連れて来ていただいたイッチャンには、ホント感謝です

今回の訪欧視察研修は、かけがえのないものになった。
自分の学んできたことが如何に机上のものであったか...
「しっかり財源さえ取れていれば可能な福祉制度」
そのように思っていた自分自身を恥じた...
「世界人権宣言」を基に練られた北欧の社会保障制度
それは『ゆりかごから墓場まで』というフレーズで、世界中に知られている。
しかし今回の視察研修でそれはけっしてお題目ではなく
「強制するのではなく、選択できる福祉」
徹底して「人ひとりの人権を尊重する」という理念が根底にあることを知った。
「どんな生き方を選択するのであれ、その人の権利として認める」
早朝、華やかなコペンハーゲンの中心街...

気持ちよさそうにホームレスが寝ていた。
行政機関の窓口に行きさえすれば、
すぐに無償で住居と温かい食事、生活費さえも保障されるのに...
豊富な財源を確保し、世界中がうらやむという「北欧の福祉」
それは選択肢はあってもけっして強制力を持たず、
そのひとの「あるがまま」を権利として受け入れるという、あたりまえの事なのだろうか...
「デンマーク」という一つの国と、「クリスティアーニャ」という独立国
その関係性に答えが見え隠れするように思えた...